学び舎⑱「別の生き物と思いましょう!」男児の取り扱い、小崎恭弘さんが講演

昼の部

「男の子って、ドングリの鼻の穴に詰めたり、衝動的に10円玉を飲み込んだり、見えない敵と戦っていたりしませんか」。大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんがそう言うと、男の子を持つママたちはうんうんとうなずいていました。小崎さんは兵庫県西宮市初の男性保育士としてキャリアを積み、自らも育休を取って男の子3人を育ててきました。自身も男ばかりの兄弟の中で育った自称「男子のプロ」です。2017年3月23日、13時半から文京区小石川のさきちゃんちで「『我が家の男たち』にお困りのママへの処方箋」、18時半から文京区民センター地下のフミコムで「男児の取り扱い入門」の題で、小崎さんの講演会が開かれました。昼の部は大人と子ども合わせて32人、夜の部は18人が集まりました。

夜の部

男の子は衝動性が強く、いきなり行動に走ります。たとえば、言葉で表現できない0歳後半から1歳児、2歳児で現れる「かみつき」は男の子に多いといいます。「みなさんこの時期の子どもの身体で一番発達している部位はどこだと思いますか? 口なのです。口が一番使いやすいから、かむのです」。そういうときは、子どもがどうしたかったのかを言葉で代弁した上で、「嫌だったら嫌と言葉で言ったらいいんだよ」と根気よく教えていくといいそうです。

小崎さん

また、男子には「今、ここ」しかありません。「昨日言ったじゃない」も「お約束しましょうね」も、効かないのです。時間軸はないし、ときに空想の世界に入り込んで生きています。「みなさん『かいじゅうたちのいるところ』という絵本ご存じですか? あれは男の子の心情をよく表しています」。ママに怒られて家を抜け出し、怪獣のいる島へ行って王になるけど、寂しくなって帰って来たのは自分の家だった――。だから、「叱っても響きません。常識が通じません。別の生き物だと思いましょう」。会場は笑いに包まれました。「子育てはうまくいかないものだと、ハードルを下げましょう」。感情的になってるのはやめる。「嫌ならもう食べなくていい」という脅しのり方はやめる。1つのことだけを伝えるシンプルなしかり方をする。すべて納得のいくお話でした。

悩み共有

小崎さんの話す先から、男の子が「何か」と戦い始めたり、乳児が泣き始めたり、ざわついたころ、絵本の中でダントツのベストセラーである「いないないばあ」を小崎さんが読み始めると、子どもたちは一気に静かになって集中して聞き入っていました。

いないないばあ

ママたちからは「兄弟げんかが絶えないのですが」「汚い言葉を連発するのですが」といった悩みや質問が次々に出されました。「バカとかチンチンとか言うのを、やめなさい、と怒鳴るとますますエスカレートします。なぜなら、彼らはその言葉を発したときの周囲の反応の大きさから、言葉にパワーがあることを学んでしまったからです」。汚い言葉や問題行動があるときは、無視したり、別の遊びに誘ったりするといいそうです。

1歳男児のママは「ひっかきで悩んでいたのでよくわかりました。来てよかったです」と話していました。夜の部にはパパたちも参加しており、悩みの共有と、軽妙で笑いを取りながらのトークによる解決策の提示で、パパママは心が軽くなったようでした。

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