授乳服を着て得られる生活や社会そのものがデザイン/モーハウス代表・光畑さんと語ろう会(KIDUKUBA第15弾)

「good enough mother(グッドイナフマザー)。ほどほどでいい。がんばって力を抜いてください」
その言葉に、参加者が大きくうなずいていました。
2016年3月12日(土)、授乳服のモーハウス代表でNPO法人子連れスタイル推進協会代表でもある光畑由佳さんのお話し会がさきちゃんちであり、約10組が参加しました。

光畑さん3
「子どもができたら仕事人生は終わりだと思っていた」という光畑さん。会社を辞めてフリーの編集者をしていましたが、2人目の子が2カ月ぐらいのある日、自宅のあるつくば市から八王子の友人宅へ出かけていく途中、中央線で子どもが泣き出しました。授乳できればすぐ泣き止むはずだけど、車内は混雑。人目もある。さあ、どうしよう・・・困り果てた末、光畑さんはやむなく胸をはだけて授乳しました。そのときに思ったのです。
いつでもどこでも人目を気にせずさっと授乳できたらいいのに。
「問題意識を持ったとき、鉄道会社に授乳スペースを作れとか、環境を整えて欲しいという要望を出す手もありますが、どうせ自分の小さい声など聞いてもらえないだろうし、愚痴を言うのも嫌でした。自分でできる答えを探して実現すればいい。そこで思い立ったのです。いつでもどこでも楽に授乳できる服を自分でつくろうと」

光畑さん4
当時、授乳服はほとんど市販されておらず、米国から取り寄せたりしたものの、デザインもあまりよくなかったそうです。そこで資本金5千円で会社を設立、買える布を買ってきて、縫子さんにお願いして授乳服を作り始めました。「起業というとハードルが高そうですが、実家が商売をやっていた私にとって敷居は低かったのです」。
そして、授乳服をつくって着てみたら、つらかった子育てが楽しさに変わったそうです。「服を着ることで得られる生活や社会そのものがデザインだと思っている」と言います。授乳服を売ることや普及させることが目的ではなく、服というツールによって、子育てが楽になる、自分が自由になる、仕事も外出もあきらめなくてすむ、そんな生活や社会を普及させたいと願っているそうです。

光畑さん2
「ママなんて、好きなことしかやってないじゃない」とお子さんに非難されたことがあるという光畑さん。「でも私は子育てだけをしていたら、力が入りすぎて過干渉になっていたかも」。ヒマだと完璧をめざしたり余計なことを考えたりしそうなタイプだと自己分析しています。「がんばって力を抜いてください、と言うと笑われてしまうけど、本気です。事業とか社会に注ぐエネルギーを子どもに注いでいたら、どうなっていたことか。自分が生き生きしている方が、子どもにとってもいいはず」。だから、good enough mother(グッドイナフマザー)を唱え始めているといいます。
子どもは一日一食、給食できちんと食べているんだから、夕食がテキトーでもいいじゃない。冬は一本の大根を炊いて輪切りにし、毎日が大根料理だっていい。大根料理に飽きた光畑さんの子どもたちは、自分で料理することを覚えたといいます。

光畑さんと大津さん
また、モーハウスといえば、何かと話題になっているのが、子連れ出勤。つくば市の本社でも、東京・青山のショップでも、0歳児を連れたママたちが働いています。子連れママたちの会議は、意外に静かだそうです。青山のショップでは、スタッフが店頭で立ちながら授乳するなど、授乳服の機能性を実演する機会にも。ちょうど、さきちゃんちの近所に住むママが子連れ出勤スタッフをしており、体験談を話しました。
参加者の中には、保育園に入れず、職場復帰ができそうにないという方もいらっしゃいましたが、「起業や子連れ出勤という第三の選択肢があったんですね」と目を輝かせていました。
お昼はセルフおにぎり&みそ汁バー。コンブや梅干し、チーズ、佃煮の中でお好みの具を選んで、自分でおにぎりを握るおにぎりバーと、ネギやほうれん草、麩、わかめなどの具材を椀に入れてみそ汁を注ぐみそ汁バーを用意し、みなさん、自分で好きなおにぎりと好きなみそ汁を食べていました。

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